樋口隆一先生の講演会 

激変する世界情勢と危機管理

~祖父「樋口季一郎」の北海道防衛~

日本を取り巻く防衛上の認識について 「部分抜粋・要約」

    露国のウクライナ侵略により、軍事的な中立を保っていたノールウェー、フィンランドのNATO加盟が決まることで、バルト海はNATOの海になる。このことから、露国は将来的に極東へ自国の海軍基地を移す事になるであろう。その後において、我が国が直面する危険と脅威の本質を日本人は理解していない。ヨーロッパでは今、危機感を持って次の戦場はどこになるのか、真剣にウクライナの次を考えている。

    日本海やオホーツク海に露国の新型原子力潜水艦が核弾頭ICBMを搭載して配備されている。先般4艦目が就航した。プーチンの意向で5艦目も建造中であり、北洋海域に配備の予定と言われている。我が国と米国本土を直接射程(不意打ちが可能)におさめる原子力潜水艦の脅威が日増しに増大している。

    露国は、1945年時点の北海道占領の軍事進攻計画と実行支配の意思を戦後80年経った今も変わらずに持っている。不法占拠した日本の北方領土を返還する考えは全く無い。この件に関する過去の状況は、GHQ最高司令官マッカーサーの回顧録に書かれている。露国は本州の東北地方まで米露での分割占領を主張したが、マッカーサーが断固拒否し露国の申し出を拒絶した経緯がある。

    国際的な国防の常識や危機対応を全く反映していない我が国の憲法(敗戦後GHQの意向を反映)では、国際法や国連憲章を無視して、他国に対して平然と侵略や軍事行動を強行する国家には全く無力である事がウクライナ侵略で証明された。軍事的に侵攻された領土は、侵攻側の領土に現状変更されてしまう事実を、改めてしっかりと認識すべきである。

    日本海を挟んでいるとは言え、我が国に隣接する三つの国「中国・露国・北朝鮮」の考え方と日常的な威嚇行動(共同軍事演習・弾道ミサイル発射・領海・領空侵犯)は、彼らの価値観や思想論理では国家体制(強権国家・共産主義・独裁政権)として正しい行動規範だと主張する。この理屈を良くも悪くも冷徹に認識しておくべきである。

    彼らの「良心」の捉え方に、自分が思う通りに行う事が「良心に従う事」と言った考え方があり、軍事力を以って他国の領土に侵攻して少しでも多く自国に編入をする事と、他国の政治体制も自分の都合の良い様に力で変えて行く事が彼らの「良心に従う」と言う考え方の基本的指針だからである。日本はこれらの思想原理の隣国に隣接しているのだから、もっと危機感を抱かなければならないにもかかわらず・・・大多数の国民は危機感が希薄なままに暮らしている。マスコミもこの事態の重大性と危機意識を持つべき必要性を国民に伝える責任を果たしていない。

    逆に、露国や中国に忖度して批判的な報道を控える論調のマスコミまであると言うのは、世界の常識では考えられない事だ。国防を語ると右翼だと言う者がいるが、世界の民主主義国家においては国防に関しては右も左も無い。こうした偏った論調は我が国だけである。憲法だけで自国の平和が担保出来ると考える人が多い日本は世界の常識から見て、かなり異常と言わざるを得ない。国際基準の当たり前の国防意識を是非持って欲しい。好むと好まざるにかかわらず、他国の領土を奪いに来る国が実在するのが世界の現実だ。

    北海道の自衛隊は、祖父の時代の占守島防衛戦の精神を今に伝える存在で良く頑張ってくれてる。しかし従来は北への備えで対露・北方防衛が強化されていたが、近年、中国による軍事的威嚇で尖閣諸島や東シナ海、台湾有事に備えて相当数が南方防衛に移されている。中露両国が、日本の周辺海域と空域で共同軍事訓練を行い、意図的に領海・領空侵犯を繰り返して日本の防衛能力を試すが如き行動に出ている。北海道が手薄であり我が国の防衛が危機に瀕している。

樋口隆一先生の ご講話の一部から「日本を取り巻く状況」部分を抜粋要約させていただきました。
ご講話の順序及び内容で、私の要約時の記憶違いや意訳に於ける記述ミス等で、先生のご講話との齟齬があろうかと存じます。ご容赦願います。

「祖父・樋口季一郎」を語る部分は別途要約してご紹介させていただきます。

 




























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